Overtones For The Omniverse

 

なぜかというと、いま音楽は完璧になりすぎて、

そこにほころびがないからだよ。

ボーカルはオートチューンで調整され、

ドラムはクリックにしたがって演奏される。

ところがこれまでの偉大な音楽は、ブラジル音楽であれ、ソウルであれ、

ジャズであれ、みんな揺らいでいる。

 

MOCKY

OVERTONES FOR THE OMNIVERSE

Tracklisting

01. OVERTURES

02. BORA !

03. STEVIE'S ROOM

04. HUMANS

05. APE-IFANYS

06. WELL TEMPERED LAMENT

07. WISHFUL THINKING

08. DESIREE (PIANO VERSION)

bonus tracks

09. LITTLE VICTORIES

10. HUMBLESAPIENS

 

CD

日本のみのリリース。未発表曲2曲(本セッションから)を加えた全10曲収録。

カタログ番号:FOUR 141

定価:2200円(税込2420円)

BARCODE : 4582561395260

レーベル:WINDBELL

特別収録

モッキーとの対話 

A Conversation with Mocky: May 21, 1:30AM

聞き手:若林恵(黒鳥社)

 

LP

Side A (01~04) Side B (05~08)

BARCODE : 880918252575

カタログ番号:HS011 (LP)

レーベル:Heavy Sheet

 

発売日:2021721

 

202036日、7日、アメリカ、ロサンゼルス。

最初のロックダウンが始まる僅か数日前に16人のミュージシャンが

一同に会した二日間の記録。場所はハリウッドにあるベアフット・スタジオ。

1967年に設立されたこのスタジオ(当時の名称はCrystal Industries Recording Studio 主に70年代から80年代かけ、アメリカのヒットチャートを彩った数々の名作が生まれたスタジオとして知られています。

モッキーが敬愛する、スティーヴィー・ワンダーの「ミュージック・オブ・

マイ・マインド」、「トーキング・ブック」、「ソングス・イン・ザ・キー・

オブ・ライフ」、「ホッター・ザン・ジュライ」、

シリータのデビュー・アルバムもここで録音されています。

アルバム「SASKAMODIE」以降の作品ではストリングスを活かした楽曲が多数披露されてますがこれほどアルバム全体に全面に出た作品は初めてのことです。

オーケストラル・アルバムということばから喚起するものともまた異なる、

普段、弦楽に親しんでいない方にも開かれた、皆で倍音を出す、この空気感。

教会音楽を奏でているわけではないのにとてもSOOTHING

ありきたりな癒しだとか、クワイエットでもない、

こころを鎮めてくれる温かみのある音楽。

単純化された音楽タームにはおさまりません。

 

日本製の最初のアナログシンセといわれる、Roland Sh-1000 の音色を

忍び込ませるのもMOCKY印の妙味。

ここにスティーヴィーを感じる方も多いかもしれません。

モーゼス・サムニー、ニア・アンドリューズ、ファイスト、エディ・チャコン

といった歌い手たちが11曲代わる代わるリード・ヴォーカルをとるかたちではなく、合唱隊の一員として連なるレコーディング現場というのもそうないでしょう。

ジョーイ・ドーシックがオルガン、グロッケンシュピール、

2019年の日本ツアーにも同行した、ヴィッキー・フェアウェルがピアノ、

ミシェル・ンデゲオチェロ、ヴェティヴァー、サム・ゲンデル、カマシ・ワシントンなど実に幅広い活躍で知られるゲイブ・ノエルがチェロ、コントラバス、

ロビン・ハンニバルとのクァドロン、ヴルフペックとの共演などでもおなじみ、

ココ・Oなど参加ミュージシャン個々の活動を辿れば、特定のジャンルでもコミュニティでもない、ほかにはそうない独自の編成であることがわかるでしょう。

先人テオ・マセロに学んだ、エディットはモッキー自身が、

きめ細やかに仕上げられたミックスは盟友、ルノー・レタンが手がけています。

 


 試聴


 

──編集にはかなり時間をかけたんですか?

かなり生っぽい仕上がりに聴こえますが

 

一個一個の音程をアジャストするような使い方ではなく、

例えば二つのテイクをつないだり、

もしくは30秒ほどの音出しの時間のなかに、

素晴らしいサウンドがあったら、そこを取り出して

曲のフェードアウトの部分に使うとかそういう感じだね。

別テイクのDNAだけ抽出して、本テイクに注入するというか。

基本90%はオーガニックな演奏なのだけれども、10%そういうものが使われているんだ。